放射線が人体に与える影響を分析する国連の科学委員会は、10年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故による影響について報告書をまとめ、「被ばくが直接の原因となる健康への影響が将来的にみられる可能性は低い」と指摘しました。
放射線の影響に関する国連の科学委員会=UNSCEARは9日、福島第一原発の事故による被ばくの状況や影響を分析し、報告書を公表しました。
それによりますと、被ばくと住民の健康への影響について、「被ばくが直接の原因となる発がんなどの健康への影響が将来的にみられる可能性は低い」と指摘しています。
そして、被ばくした子どもの間で甲状腺がんが増えている原因は、高感度のスクリーニングによる検査を行った結果だと指摘していて、いずれの年齢層でも被ばくが原因の甲状腺がんの増加はみられそうにないと分析しています。
また、福島第一原発の作業員についても、白血病とがんの発生が増えることはみられそうにないと結論づけています。
科学委員会は、福島第一原発の事故による影響などについて2013年にも報告書をまとめ、「被ばくによるがんの増加は予想されない」などと結論づけましたが、今回、その後のデータを追加して分析した結果、全体として2013年の報告書の結論がおおむね確認できたとしています。
【NHK】