東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で社員が他人のIDカードで中央制御室に入った問題で、原子力規制委員会の更田豊志委員長は10日の定例会見で、不正入室を知っていれば、東電に原発を動かす適格性を認めた昨年9月の判断が変わっていた可能性がある、との意見が一部の委員から出ていることを明らかにした。
不正入室は昨年9月20日に発生し、東電は翌21日に規制委の事務局である原子力規制庁に報告した。だが、更田委員長や委員は不正入室を知らないまま、23日午前の定例会で東電の適格性を認めていた。地元首長らからは適格性の評価を検証するよう求める声があがっている。
この点について、更田委員長は「前提を覆すものと現時点で捉えているわけではない」と否定的な考えを示した。ただ、9日にあった規制委の臨時会議では委員の一部から「(適格性認定の)判断を全く左右しなかったかというと、そんなことはない」という意見も上がった、という。
更田委員長の説明によると、規制庁の担当部署から片山啓次長に不正入室が報告されたのは、適格性を認めた定例会が終わった直後の23日午後だったという。意図的かどうかについては「そういうバイアスはない」などと否定した。
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東京電力柏崎刈羽原発の不正入室問題をめぐり、花角英世知事は10日、原子力規制庁が原子力規制委員会に報告しないまま再稼働の「適格性」を了承したことについて、「事案を含めて適格性の評価をしてほしい」と述べ、適格性を改めて議論するよう規制委に求めた。
【朝日新聞】