福島第一原子力発電所の事故の調査をおととしから再開した原子力規制委員会は、新たにわかった放射性物質の施設内部の汚染実態などについて報告書案を取りまとめ、まだ未解明な事象も多く、今後、可能なかぎり調査を続けることが大切だと指摘しています。
東京電力の福島第一原発の事故では、1号機から3号機で核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起き、1号機と3号機、4号機で水素爆発が起きました。
原子力規制委員会は現場の放射線量が下がってきたことなどからおととしから事故調査を再開していて、26日、326ページの報告書案を取りまとめ、新たに大きく3つの事実がわかってきたとしています。
このうち、内部の気体を外に放出する「ベント」を試みた1号機と3号機では気体の一部が逆流し、これが建屋内の汚染を広げた可能性があるとしています。
この逆流には水素も含まれていた可能性があり、今後、水素爆発との関係性を調べる必要があるとしています。
また、2号機と3号機では原子炉の真上にあるふたに大量の放射性物質が付着しているのが見つかりました。
メルトダウンした原子炉の放射性物質がその後どこに漏れたり、滞留したりしているか、まだ全容がわかっていないことから、報告書案では、ふたの下の構造物も今後調べるべきとしています。
このほか水素爆発の映像分析も初めて行われ、3号機では最初の爆発に続き可燃性ガスの爆発的な燃焼が連続して起きていた可能性が高いとしています。
一方、3号機の原子炉の圧力を下げる装置で原因不明の動作があったことなど、未解明な事象はまだ多いとして、今後、廃炉作業の中で、可能なかぎり現場で調査を続けることが大切だと指摘しています。【NHK】