東京電力福島第一原発事故で精神的苦痛を受けたなどとして、福島県内の避難指示区域外の住民が東京電力に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は、東電に計約1203万円の賠償を命じた1審・福島地裁判決を変更し、賠償額を計約1186万円とした。原告50人のうち46人については、東電の控訴を棄却し、残る4人については、賠償額の算定方法を見直して、減額した。
判決は、原告の被害について、避難指示区域外でも放射線被曝ひばくが重大かつ深刻で、受忍限度を超えると指摘。十分な情報が提供されず、生命や身体の安全への影響について具体的な恐怖や不安もあったとし、1審と同様に2011年12月末までの慰謝料を認めた。賠償基準を定めた国の中間指針による金額(大人1人当たり8万円)を上回る「30万円が相当」と判断した。
東電は、事故から1か月余りで原告らの不安は解消されていたと主張したが、退けられた。「今後判決内容を精査し、対応を検討する」としている。【読売新聞】