今月、オンラインによる国際会議を開いたICRPは、来年で発生から10年となる福島第一原発の事故の教訓を踏まえた勧告を、このほどまとめました。
それによりますと、大規模な原子力事故が起きると、放射線の影響だけでなく、避難による生活の変化や偏見、差別など複雑な問題が発生すると指摘しています。
そのうえで、生活の質を回復するためには行政や専門家だけでなく、住民が参加して対策などを考える必要があるとしました。
例えば、住んでいる場所の線量マップの作成や、農産物を測定する装置の地域への提供など、生活に直結する情報とともに、住民も主体的に対策に参加する仕組みが重要だと指摘しています。
勧告に関わった大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授は「生活の質の回復には科学的な情報を出していくことは基本。さらに対策のプロセスに住民が参加し、住民が納得しながら決定に関わっていくことが望ましい」と話しています。【NHK】