いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、北海道神恵内村は調査の第1段階となる文献調査を受け入れることを決めました。国が3年前に調査対象になる可能性がある地域を示した全国の「科学的特性マップ」を公表して以降、調査を受け入れる自治体は同じ北海道の寿都町に続いて2例目となります。
北海道 寿都町に続いて2例目
北海道 寿都町に続いて2例目
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、北海道神恵内村では8日の村議会で調査の受け入れを求める請願が採択されたのに続き、9日午後には、経済産業省の幹部が村を訪れて文献調査の実施を申し入れ、そのあとの村議会議員協議会で意見が交わされました。
これを受けて、高橋昌幸村長は記者会見で調査の第1段階となる「文献調査」を受け入れることを決めたと表明しました。
国が3年前に、調査対象になる可能性がある地域を示した全国の「科学的特性マップ」を公表して以降、調査を受け入れる自治体は同じ北海道の寿都町に続いて2例目となります。
最大20億円の交付金 村長「重要視していない」
神恵内村の高橋昌幸村長は記者会見で、「きのう、村議会で請願が採択されるという結論が出て、きょう、経済産業省からの受け入れの申し入れがあった。それらを総合的に勘案して私としては文献調査を受け入れるという結論に至った」と述べました。
そのうえで、判断の理由について「住民説明会の中で、若い住民から『核のごみ』の問題は私たちの世代で解決しなければならないという意見があった。また、泊原子力発電所の隣接地という地域にあって今までも原発と長い間、一緒に歩んできたということも踏まえて決断してほしいという声もあった」と述べました。
一方、文献調査の受け入れに伴う最大20億円の交付金については「こんなことを言ったら失礼だが重要視していない。20億、30億で村を売るのかという人もいるがそんな訳がない」と述べながらも、漁業などの産業振興や福祉に使いたいという考えを示しました。
北海道知事「現時点では反対意見を述べる考え」
北海道の鈴木知事は「高レベル放射性廃棄物は受け入れがたい」などとした道の条例があることを踏まえ、「文献調査について知事の意見は求められないが、仮に神恵内村で文献調査が実施され、さらに概要調査に移行しようとする場合は、私としては条例の趣旨を踏まえ現時点では反対の意見を述べる考えだ」という談話を出しました。
NUMO「神恵内村に敬意と感謝」
いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、北海道神恵内村が、調査の第1段階となる文献調査を受け入れることを決めたことについて、NUMO=原子力発電環境整備機構は、「2017年7月に科学的特性マップが公表され、全国で地層処分の仕組みや日本の地質環境などについて理解を深めていただく対話活動を進めているなか、村の関係者からの請願を起点として、村議会や住民のみなさまが慎重に議論され、受諾いただいた神恵内村には敬意と感謝の意を表したいと思います」とコメントしています。
そのうえで、今後について「地層処分事業に関する情報を継続的に共有してもらうための対話活動などを通じて、事業に関する広報や文献調査の進捗(しんちょく)の説明、地域の発展ビジョンの具体化検討などに取り組んでまいります」としています。【NHK】