国内の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合が2020年上半期(1~6月)に23・1%に達していたことが国際エネルギー機関(IEA)の集計で分かった。再生エネの増加に加え、新型コロナウイルスの影響で電力需要全体が落ち込んだことも影響した。政府は30年度までに再生エネの比率を「22~24%」にする目標を掲げており、目標の引き上げを求める声が強まる可能性がある。
IEAが日本を含む加盟国から報告された電源別の発電量の速報値を集計した。それによると、日本の20年上半期は、再生エネの発電量が前年同期より18・6%も増えた。太陽光発電が14・3%伸びたほか、建設が進んできた風力も18・5%増、バイオマスも22・7%増と、それぞれ大幅に拡大。降水量が多く、水力発電も21・8%増だった。
一方で、新型コロナの感染拡大で経済活動が停滞したため、総発電量は前年同期比で5・4%減少。燃料費がかかる天然ガスや石油などによる発電が抑えられ、再稼働していた原発も安全対策などで一部が止まった。その結果、再生エネの比率が19年の18・6%から一気に高まった。
日本エネルギー経済研究所によると、再生エネの発電は、冬は減るが春先から増えるため、過去のデータでは、1~6月の再生エネ比率は1年間を通した比率とほぼ同水準となる。また、IEAの集計は、日本が公式に採用する総合エネルギー統計より再生エネの割合が約1%分大きく出やすいという。同研究所の二宮康司研究主幹はこうした要素を考慮したうえで、「電力需要の減少傾向が続けば、今年は通年でも再生エネ比率が政府目標の22%に迫る可能性がある」と指摘する。
目標達成は新型コロナによる一時的な側面があるものの、再生エネの発電量自体は今後も増加が見込まれる。総発電量の低水準もコロナ後の生活様式の変化で定着する可能性がある。
政府は今後、国のエネルギー基本計画の改定に向けた議論を本格化させる。原発の再稼働が進まないなか、政府目標の再生エネ比率を引き上げるかどうかが焦点になりそうだ。【朝日新聞】