宮城県女川町議会は11日、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働をめぐり、住民の避難のために国道398号石巻バイパスのトンネル整備などを首相と県知事らに求める意見書を提出することを決めた。議会最終日の14日に議員提案され、全会一致で可決される見通しだ。
2号機の再稼働に関しては、町議会や県の住民説明会で、町外に逃げる道路が限られていることなどから避難計画の脆弱(ぜいじゃく)性が度々、指摘されている。町議会が再稼働同意の意思を表明したことを受け、須田善明町長も今月7日に、県や国が避難計画で実効性を高める約束をすることが再稼働容認の条件になり得るとの考えを示している。このため、今回の要望事項が、町と県との協議の際の重要テーマとなるのは必至で、実現のために知事がどこまで踏み込むかが、再稼働同意に向けた今後の大きな焦点となりそうだ。
国道398号石巻バイパスは、三陸道・石巻女川インターチェンジと女川町を結ぶ緊急輸送の位置づけの道路だ。「3桁」国道なので、県が管理している。都市計画決定している全長10・8キロの計画のうち、2018年までに6・1キロが開通したものの、女川町側の工区は未着手のままだ。
町の担当者によると、2年前に完成した工区は復興予算で実現したが、女川までの工区は通常の事業の扱いとなるため、着手のめどが立っていないという。
意見書では、隣の石巻市をつなぐ道路が昨年の台風19号の際に冠水などし、「町は約17時間もの間、孤立状態となった」と指摘。そのうえで、工区内のトンネルの整備を含む石巻バイパスの早期完成の実現を強く求める。首相と知事、国道を担当する国土交通相に宛てるほか、原発を担当する経済産業相にも議長名で提出する。
意見書の提出は、11日の議会運営委員会で決めた。再稼働に反対する議員もいることから、二つの意見書にわける。
「2号機の再稼働が速やかに実現するよう関係機関との連携を図ること」を知事と町長に求める意見書を、再稼働に賛成の議員のみで可決する。「安全性の確保を大前提」としつつ、「2号機が再稼働することにより生まれる数多くの波及効果が、町の中長期的な発展並びに地域経済の活性化に繫(つな)がるなどの期待が大きい」と理由を示す。石巻バイパスの早期完成を求める意見書は全議員で可決する見通しだ。
【朝日新聞】