東京電力福島第一原子力発電所の事故で宮城県などに避難した80人余りが「ふるさとを奪われた」などとして国と東京電力を訴えた集団訴訟で、仙台地方裁判所は東京電力に合わせて1億4400万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。一方、国の責任は認めませんでした。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県双葉町などから宮城県などに避難した80人余りは、ふるさとや地域のコミュニティーを奪われたなどとして国と東京電力を相手に裁判を起こし、事故前の津波対策や、慰謝料の額などをめぐって6年にわたって裁判を続けてきました。
11日の判決で仙台地方裁判所の村主隆行裁判長は当時の東京電力について、「地震の想定に基づき15メートル以上の津波が来ることが分かっていたのに、原発の運転を止められるおそれがあるなどとして国に報告しなかった。
事実を隠蔽する悪質な対応と言わざるをえない」などと厳しく指摘し、国の指針を上回る慰謝料を認めて原告77人に合わせて1億4400万円余りの賠償を命じました。
一方、国については「法律に基づき東電に津波対策を命令する義務があったが、命令したとしても事故を防ぐことができたとは言えない」などとして責任を認めませんでした。
住民側は控訴する方針です。原告の弁護団によりますと、全国で起こされた福島第一原発の事故をめぐる集団訴訟で、1審が国の責任を認めたのは7件、認めなかったのは6件となりました。【NHK】