京都府は23日、福井県の関西電力高浜、大飯両原発で同時に事故が発生した状況を想定した放射性物質拡散予測を公表した。空間線量は最大でも避難基準を下回っており、両原発から約30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)は建物内にとどまる屋内退避が妥当との結果だった。府は地域防災計画で定める従来方針が裏付けられたとしている。
府による拡散予測は8年ぶり2回目で、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」を用いた。2011年の福島第1原発事故を踏まえた原子力規制委員会の新規制基準や、二つの原発の同時発災といった新たな要素を加えて実施した。
予測では、新規制基準や福島事故のデータを基に各原発から拡散する放射性物質の最大放出量を算出し、それが10時間続いたと想定。16~18年の気象データを調べ、福井県小浜市の観測所から京都府に向かう風が6時間以上継続した日のうち3日を選んだ。
放射性物質の放出開始から24時間後の空間線量を計算したところ、最大値は福井県内で1時間当たり17・3マイクロシーベルトだった。府内では舞鶴市の一部が同1・0マイクロシーベルト以上の枠内に入った。いずれも規制委の原子力災害対策指針で定められた避難基準(同20マイクロシーベルト)を下回ったことから、UPZ(高浜原発は30キロ圏内、大飯原発は32・5キロ圏内)の住民は屋内退避にとどめ、避難を要しないと結論付けた。
府は「予測結果を踏まえ屋内退避の重要性を周知し、住民避難の在り方の検証にもつなげたい」(原子力防災課)としている。【京都新聞】