関西電力は経営幹部らによる金品受領問題で、一部の株主から当時の経営陣を訴えるよう求められたことから外部の弁護士による調査委員会を設け、今月8日、報告書が取りまとめられました。
報告書では、八木前会長や岩根茂樹前社長ら5人が取締役としての職務を適切に行わず、会社におよそ13億円の損害を与えたと認定しました。
関西電力の監査役会はこの報告書にもとづいて、旧経営陣に損害賠償を求めるかどうか協議し、週明けにも提訴する方針を固めました。
法的責任は免れないと判断したものとみられます。
監査役会は週明け15日に最終決定する予定ですが、対象は5人の旧経営陣となる可能性が高いものとみられています。
また、損害賠償の請求額は、問題を調査するためにかかった費用なども加わり報告書で認定された13億円を大幅に超える見通しです。
関西電力の旧経営陣は福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていただけでなく、業績悪化で減額した役員報酬の一部をひそかに補填(ほてん)するなどガバナンスの機能不全が厳しく指摘されています。
取締役の責任を調べる外部の調査委員会は、金品受領問題をめぐり、一部の株主から関西電力の監査役会に5人の元経営幹部を訴えるよう求められたことを受けて、ことし3月末に設置されました。
関西電力が第三者委員会に提出した資料をもとに幹部へのヒアリング調査を行い、今月8日、関西電力に報告書を提出しました。
報告書では、金品受領問題などによって
▽森詳介元相談役
▽八木誠前会長
▽岩根茂樹前社長
▽豊松秀己元副社長
▽白井良平元常務の5人の元取締役が、会社に損害を与えたと認定しています。
損害につながる要因としては、主に次のような問題点を指摘しています。
▽福井県高浜町の元助役から巨額の金品を受け取っていたこと
▽元助役側に事前に工事情報を伝え、工事の発注を約束し、その約束どおりに発注していたこと
さらに、
▽業績が悪化していた時期に、減額した役員報酬の一部をひそかに補填(ほてん)していたことです。
そして元経営幹部たちが職務を適切に行わなかったために、次のような損害が会社に発生したとしています。
代表的なものでは
▽事前に元助役側に工事情報を伝えるなど、ゆがんだ工事発注によって、本来よりも高い金額での発注や不要な工事が発注されたなどとして3億2000万円の損害が発生したとしています。
また、
▽一部の自治体で入札の参加資格を停止されて新規の契約を受注できなくなったことなど、営業上の損失が7億円
▽役員報酬の補填(ほてん)を含め、一連の問題で大きく失墜した信頼を回復するための広告費用などとして2億5000万円を認定しています。
こうしたものを合わせると、損害はおよそ13億円に上ります。【NHK】