東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働の可否を問う「地元同意」について、石巻市内15の市民団体が28日、同意しないことを求める請願書を市議会に提出した。
「いのちと郷土を守る市民の会」や「原発いらない十三浜の会」などの代表者ら12人が市議会を訪れ、「避難計画には実効性がない。議会として安易に同意しないようお願いする」と主張し、木村忠良議長に請願書を手渡した。
木村議長は「しっかりとした形で審査したい」と応え、6月定例会で総務企画委員会と総合防災対策特別委員会に付託し、合同審査とする見解を示した。市議会事務局によると、合同審査になれば2005年の合併後では初めて。
市議会には22日、同市の牡鹿稲井商工会が早期の再稼働を求める陳情書を提出している。
再稼働を巡っては2月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。東北電は4月、安全対策工事の完了時期を2020年度から22年度に延期すると発表した。
<地元同意差し止め仮処分、第5回審尋>
東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を巡り、重大事故を想定した広域避難計画に実効性がないとして、石巻市民有志17人が、県と市に再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求めた仮処分の第5回審尋が27日、仙台地裁であった。
住民側は県が新たに試算した避難時の所要時間に触れ、改めて計画の不備を指摘した。試算では、5~30キロ圏内の住民が圏外の避難先に着くまでに最長約3日を要するなどとしている。
汚染状況を調べる検査ポイントの立ち上げまでの日数や検査の所要時間などが考慮されておらず、実際はさらに時間がかかると指摘。水や食料の補給、バス運転手の拘束時間にも触れ「迅速かつ確実な避難は実行不可能だ」と主張した。
審尋は非公開で行われた。終了後、会見した住民側代理人の小野寺信一弁護士は「避難者が置かれる状況に対する検討がなされておらず、計画にリアリティーがない」と話した。
県と市側は、申し立ての却下を求めている。【河北新報】