日本が東京電力福島第1原子力発電所の放射性物質を含んだ処理水の海洋放出を決定するのではないかとの見方が出ているなか、韓国海軍も対応策の整備に乗り出したことが12日、分かった。
海軍は先ごろ、「放射能汚染水が海軍の任務遂行に与える影響」と題した研究事業の入札を公告した。
海軍は研究の目的について「作戦海域において放射能汚染水がわが軍の作戦に与える影響と対応策を研究し、対策策定を具体化するためのもの」と説明している。
周辺国が多量の放射能汚染水を海洋に放出するケースを想定し、海軍が影響分析と対策策定のための研究を実施するのは今回が初めて。
海軍は研究提案書などで、放出する可能性のある「周辺国」がどこなのかについて明示していないが、状況からすると主に日本などを念頭に置いているとみられる。
日本政府は原発で発生する放射能汚染水の処分方法を巡り、近ごろ地元住民や専門家からの意見聴取を相次いで行っているが、事実上、海洋放出を決めた上で形式的な手続きを踏んでいるのではないかとの疑念が出ている。
国際環境保護団体グリーンピースのドイツ事務所の核問題シニア・スペシャリスト、ショーン・バーニー氏は昨年の懇談会で「高レベルの放射能汚染水110万トンを太平洋に放出すれば、(朝鮮半島東の)東海の放射性物質も増える」とし、東海に流入するのに1年ほどかかるとの分析を示していた。
海軍は「多量の放射能汚染水が海洋に放出された場合の、作戦海域に与える影響に関する研究事例がない」と説明。海水が放射能に汚染された状態で生活用水や装備の冷却水として使うことや、将兵が海水に触れることなどについての研究が必要だと軍は判断している。
海軍関係者はただ、研究は「汚染水の放出への対応マニュアルをより具体化するためのもの」だとし、「特定国に対応した研究ではない」と説明している。【聯合ニュース】