関西電力は28日、6月の株主総会で選任する社外取締役に、筆頭株主の大阪市が要請した元市長の橋下徹氏を入れる案を拒否したと発表した。記者会見した森本孝社長は「特定の大株主(大阪市)と関係が深い」と理由を説明した。関電は社外取締役を8人へと大幅に増やし、批判される「内向き文化」からの脱却を目指すが、同日、大阪市の松井一郎市長は関電の改革姿勢を「上っ面」と激しく批判した。
森本氏は橋下氏について、過去に日本維新の会などの代表を務め、現在も政治に関して意見を発信していることから、「公益性が高い当社の取締役に就任することは適切ではない」と指摘した。一方、「役員研修の講師を依頼するなど意見を聞く機会を持ちたい」とも話した。
ただ、関電と橋下氏には激しく対立した過去がある。橋下氏は大阪市長時代、東日本大震災後の関電による電気料金の値上げを批判し、経営陣の退陣を要求した。関電は否定するが、こうしたしこりが、拒否の背景にあるのではとの見方もある。
28日の関電の発表後、松井市長は市役所で記者団の取材に答え、「内向きの体質を変えようというのは上っ面だけだ」と批判した。
市は、取締役の報酬などすべての経営情報を開示するよう株主提案する予定。松井氏は「これまでも開示を求めてきたが、一切取り合ってくれなかった。このままで関電が信頼を取り戻せるとは思わない」と指摘した。今後、株主代表訴訟の提起を含め、対応を検討する。両者の関係悪化は深刻になる可能性がある。
関電は、社外取締役の権限を強化する指名委員会等設置会社へ移行する。社外取締役は取締役候補13人の過半数を占める8人に。日本製鉄相談役の友野宏氏、会長就任が発表された前経団連会長の榊原定征氏らで構成する。近鉄グループホールディングス会長の小林哲也氏は留任し、ダイキン工業会長の井上礼之氏は退任する。【産経新聞】