原子力規制委員会は27日、新型コロナウイルスの東京都内での感染拡大を受けて、原子力発電所などの安全審査をインターネット上で実施すると発表した。電力会社側の準備に時間を要するため、30日の週は審査会合を開かない見通しだ。4月10日までの措置だが、感染拡大が続けば、原発の審査にも悪影響が出かねない。
これまでは規制委が入る都内のビルに電力会社の担当者を招き、原子力規制庁の職員と対面で議論する形で審査会合を開いていた。一般傍聴者や報道機関にも公開し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で生中継してきた。
感染を防止するため、規制委のビルには集まらず、電力会社との議論をネット上で実施する。審査の様子はこれまで通りユーチューブで視聴できるようにする。
規制委員5人が週に1度集まって最終的な意思決定をする定例会などはこれまで通り開催するが、一般傍聴者は受け入れない。規制庁職員は30日から原則的に在宅勤務とする。
いずれも4月10日までの措置だが、感染拡大の状況によっては延長する可能性もある。審査会合を開けない期間が長引いたり、ネット上での議論が順調に進まなかったりすれば、原発の再稼働審査にも影響が及ぶ恐れがある。【日本経済新聞】