東京電力福島第一原発の事故の慰謝料をめぐる最大の集団訴訟、「生業訴訟」は20日、仙台高等裁判所での審理が終わり、次回、判決が言い渡されることになりました。
この裁判では、福島県の住民や県外に避難した人たちおよそ3800人が、原発事故で生活の基盤が損なわれ、精神的な苦痛を受けたとして、国と東京電力に慰謝料などを求めています。
3年前、福島地方裁判所の判決は、国と東京電力の責任を認め、4億9000万円あまりの賠償を命じましたが、原告と被告の双方が控訴しました。
20日、仙台高等裁判所で開かれた裁判で、原告側の弁護士は「国と東京電力は、大規模な津波を予見して被害を防ぐことができたにもかかわらず、ずさんな対応をとり、事故の直接の原因となった」と主張し、原状回復や慰謝料の増額を求めました。
一方、国側の弁護士は、「原発の敷地内に津波が襲ってくることを想定することはできなかった。対策を講じていても、原発事故は防ぐことはできなかった」と主張しました。
おととし10月に始まった2審は9回の審理を行って、これで結審し、次回、判決が言い渡されます。
判決の期日はまだ決まっていません。
弁護団によりますと、原発事故の慰謝料をめぐり、国と東京電力の双方を訴えた集団訴訟は全国でおよそ30件が起こされました。
そのうち10件で1審の判決が出され、すべてが控訴されています。
2審で結審したのはこの生業訴訟が初めてで、高裁の判断が注目されます。【NHK】