東京電力福島第1原発事故の影響に関する福島県の県民健康調査をテーマにした国際シンポジウムは最終日の3日、県立医大の鈴木真一教授が基調講演し、事故当時18歳以下に実施する甲状腺検査について「過剰診断・治療にならないよう注意しつつ、長期に見守りを続ける必要がある」と述べた。
鈴木氏は2015年まで甲状腺検査の責任者を務めた。同大が12~18年に手術をした180の甲状腺がん症例に関し、発症率に有意な地域差が見られないことなどから「現時点で放射線被ばくの影響は認められない」と強調。症例が増えたのは「大規模で精密な超音波検査を行ったため」と説明した。
寿命前に症状をもたらさないがんまで見つける過剰診断との指摘には、病理診断や超音波検査の基準は諸外国に比べて抑制的とした上で「われわれの治療症例も過剰診断がないとまでは言い切れないが極めて限定的で、甲状腺検査が有害とは言えない」と述べた。
シンポは2日に福島市で開幕した。
【河北新報】