昨年9月に幹部の金品受領問題が発覚した関西電力。31日発表した令和元年4~12月期連結決算では、業績への影響は「現時点では特段みられない」としたものの、今夏以降に控える原発再稼働や、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地選定など課題は山積している。会見した森本孝副社長は「計画達成に全社を挙げて取り組んでいる」と強調したが、岩根茂樹社長の引責辞任はすでに決まっており、経営空白への懸念は根強い。
堅調な業績が続く関電だが、2年度には原発リスクが経営を直撃する。設置が義務付けられているテロ対策施設の完成が間に合わない高浜原発(福井県高浜町)の3、4号機は、8月以降に順次停止。火力発電の稼働増などによる約340億円の燃料コストが収支を圧迫する。
高浜原発1号機や美浜原発3号機(福井県美浜町)は今夏以降の再稼働を計画しているが、金品問題の影響で地元同意が得られるかは不透明なまま。森本副社長は「みなさんに信頼されるよう丁寧に説明をしていきたい」と述べ、多難な前途を示唆した。
中間貯蔵施設も「2年をめどにできるだけ早く候補地を示したい」(岩根社長)としてきたが、いまだ具体的な立地地点を示せていない。県外での設置を求める福井県の杉本達治知事からは、22日の会見で「残念。スピード感を持って進めてもらいたい」と注文を付けられた。
課題解決に向けた具体的な道筋は見えてこないが、森本副社長は「総力戦で取り組んでいることを理解してもらいたい」と強調。ただ、金品問題を調査する第三者委員会は年度内の最終報告を「約束できない」(但木=ただき=敬一委員長)とする。岩根社長は第三者委の最終報告までは辞任しない意向で、金品問題に揺れる現経営陣に対し社内外から「もはや死に体(レームダック)」とする厳しい見方が広がっている。
【SankeiBiz】