原子力規制委員会の活動など日本の原子力規制を検証する国際原子力機関(IAEA)の派遣チームは21日、8日間の調査を終えた。2016年の初回調査を受けて、規制委が検査制度を改善したことなどについて「大きな進展があった」と評価した。一方で、電力会社との意思疎通を改善すべきだと指摘した。
IAEAは3カ月後に最終報告書をとりまとめて日本政府に提出する。IAEAの総合規制評価サービスは、加盟国の要請を受けて原子力施設に関する規制制度を評価する。
規制委が発足後に初めて受けた16年の調査では、独立性や透明性の確保について一定の評価を得た一方で、計26の提言・勧告を受けた。
このうち、硬直的と指摘された原子力施設の検査制度は、検査官が自由に施設内に立ち入る制度に改めて、今年4月から導入する。派遣チームのリーダーで、カナダ原子力安全委員会上席副長官のラムジー・ジャマール氏は「規制委は規制プログラムを充実させる多くの手立てを講じた」とコメントした。
今回の調査では「放射線防護の規制監督の強化」など改善すべき点も示した。ジャマール氏は原子力産業界と規制委の関係について「当局が孤立して規制要求を一方的に押しつけることは安全性の強化にはつながらない」と指摘し、意思疎通の改善を求めた。【日本経済新聞】