原発の廃炉作業の問題点などを議論する市民による検討委員会は14日、原子炉建屋や使用済み核燃料の密閉管理などを盛り込んだ廃炉についての提言をまとめ、公表した。
検討委は、市民団体「原子力発電に反対する福井県民会議」が設置。5人の委員が4月から計4回の公開の会合を開いてまとめた。
提言には、原子炉建屋などをそのまま密閉管理し、少なくとも100年程度の安全貯蔵期間を設ける▽使用済み核燃料は見える形で長期間、密閉管理すべき▽廃炉後の地域経済の展望を描くために、住民が廃炉を求め、原発依存の現状を打破する姿勢に転じることが不可欠。農林水産業の6次産業化などで原発依存からの脱却を図っていく――などが盛り込まれている。
この日は福井県敦賀市内で会合があり、検討委の長沢啓行座長が、県民会議の中嶌哲演代表委員に提言を手渡した。長沢座長は「(会合の参加者から寄せられた)いろいろな意見を吸収してまとめた。提言を受け止め、県民会議の中で議論してほしい」と述べた。
県内にある15基の原発のうち、関西電力美浜原発1、2号機や、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」など計5基で廃炉作業が進んでいる。11日には関電大飯原発1、2号機の廃炉計画が原子力規制委員会の認可を受けた。【朝日新聞】