東京電力ホールディングスの小早川智明社長は13日、東日本大震災を受けて建設を中断している東通原子力発電所(青森県)について中部電力と日立製作所、東芝の共同事業化を目指す方針を語った。東電の原発は再稼働の見通しが立たない。4社の共同事業とすることで早期の建設再開につなげる狙いがある。
東電は8月に中部電、日立、東芝の4社で原発の共同事業に向けた基本合意を結んでいた。13日に都内で開いた記者会見で、小早川社長は「安全性に対する知見の共有や人材を集中的に活用できるため、原発事業を続けるには共同事業が一番良い」と強調した。
福島第1原発事故の後、東電と中部電が手掛けてきた沸騰水型軽水炉(BWR)は動いていない。小早川社長は「(建設が止まっている)東通原発は重要な電源」と強調し、原発の共同事業化を進めていく中でまずは東通原発に絞って具体化していく考えを明らかにした。
一方、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)については「20年12月までには7号機の安全対策の工事を終わらせたい」と語った。再稼働には地元同意も必要となるが、原発事故時の避難経路など新潟県による独自の検証作業が終わる見通しがたっておらず、小早川社長は「県の検証に最大限協力する」と述べた。【日本経済新聞】