原子力規制委員会は11日、関西電力の大飯原子力発電所(福井県おおい町)1、2号機の廃炉計画を認可した。2048年度までの工程で、費用は1187億円にのぼる。関電は美浜原発(同県美浜町)1、2号機も45年度までの廃炉作業を進めている。それぞれ約30年の工程が計画通りに進むかは不透明な面があり、長期的に業績への影響も懸念される。
大飯原発1、2号機は運転開始から原則の40年がたち、国に20年の運転延長を申請する道もあったが、安全対策費がかさみ採算性が見込めないとして廃炉を決めた。関電は昨年11月に廃炉計画の認可を申請していた。法令に従い廃炉費用をすでに約960億円積み立てている。
廃炉の工程は4段階に分かれる。最初の段階は26年度までの解体準備期間となり、残存放射能調査を終えるとともに、除染や核燃料物質の搬出に着手する。その後に、原子炉周辺の解体撤去、原子炉領域の解体撤去、建屋などの解体撤去と段階を踏む。
美浜原発1、2号機の廃炉認可は17年4月。福島第1原発事故後に運転期間が原則40年と規定されてから初めての廃炉認可だった。費用は約680億円と見込み、約630億円を積み立てている。4段階の最初の工程を進めている。大飯原発1、2号機の廃炉作業も含めて難しい作業に挑んでいく。
足元では人手不足から人件費が高騰するなどしており長期的なコスト管理が課題となる。また廃炉作業で出る放射性廃棄物の処分地は決まっていない。この状態が続けば工期が延びて廃炉費用が膨らむことになる。
関電は再稼働済みの原発が4基。今後は3基を再稼働する方針だが、金品受領問題が原発立地自治体の反発を招いており暗雲が垂れ込めている。関電にとっては廃炉作業を安全重視で着実に進め、地元の信頼回復に少しでもつなげたいところだ。【日本経済新聞】