東京電力柏崎刈羽原発で重大事故が起きた際、優先的に避難する原発から半径5キロ圏内(PAZ)の住民のうち、4866人は自力での避難が難しいという試算を内閣府が27日、明らかにした。搬送するバスや運転手の手配が課題となる。
避難計画を改善するための地域原子力防災協議会が同日、新潟県庁であり、国の関係機関や県、東電、周辺自治体の担当者が参加。その中で内閣府が示した。
試算は、約2万人が住むPAZ圏内(刈羽村の全域と柏崎市の一部)で、自力で避難が難しい高齢者や要介護者、授業中に被災した場合などに学校単位で避難する可能性がある児童生徒などの数を内閣府が両市村に照会し、算出した。避難に必要な大型バスのほか、救助用ストレッチャーや車いすを乗せられる福祉車両が少なくとも計214台必要とみている。
避難用車両や運転手は、主に自治体や、要介護者が入居する福祉施設などが手配する。内閣府によると、27日の協議会では「自治体だけでは車両や運転手の確保が難しい」という意見も出たため、東電にも確保の手配を要請したという。
内閣府の担当者によると、同様の試算をしている他の原発より柏崎刈羽はPAZ圏内に学校や福祉施設が多く、対象となる住民も多いという。PAZ圏内に続いて避難を始める5~30キロ圏内(UPZ)に関する試算は今後示す。
協議会では、ほかに、豪雪や健康上の理由で圏外に避難せず屋内にとどまる人を放射線防護施設に安全に移す方法や、屋内退避を呼びかける際の周知方法も課題として挙がった。内閣府の担当者は「避難訓練に参加し、肌で感じてもらうのが一番の周知になる」と話す。県や内閣府などは、11月9日に予定している住民参加型の大規模避難訓練に向けて、引き続き課題や改善策を検討するという。【朝日新聞】