東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から愛知、岐阜、静岡各県に避難するなどした42世帯128人が東電と国に慰謝料など計約14億4000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(桃崎剛裁判長)は2日、国の責任を認めず、東電にのみ原告109人に計約9683万円を支払うよう命じた。
判決では、国の責任について「津波の予見可能性の程度は必ずしも高くなく、東電への規制権限の不行使が違法と言うことはできない」などと否定。原告の多くを占める自主避難者については、最長で2012年8月末までを避難継続の合理性が認められるとして、1人最大100万円の慰謝料が相当とした。
原告側弁護団によると、原発避難者の集団訴訟は約30件提起し、判決は12件目。うち9件で国にも責任を問うており、認めなかったのは千葉地裁の2件に続き3件目。
原告の事故当時の居住地は福島県富岡町や南相馬市など避難指示などが出た区域が12世帯23人、それ以外の同県内からの自主避難が30世帯105人で、原則1人1100万円の損害賠償を求めていた。
東京電力は「事故により福島県民をはじめ広く社会の皆様にご迷惑をおかけしていることをおわびする。今後、判決内容を精査し対応を検討する」とコメントした。【毎日新聞】