原子力規制委員会は3日の定例会合で、原発事故の際に甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の事前配布について、原子力災害対策指針と配布マニュアルの改正案を正式決定した。5月の会合で了承済みだった。事前配布の対象者を原則40歳未満とし、服用は被曝の影響が懸念される子供や妊婦らを優先すべきだとした。
安定ヨウ素剤は、甲状腺がんを引き起こす放射性ヨウ素による内部被曝を防ぐ。
現在は原発の半径5キロ圏の全住民を中心に自治体が事前配布している。改正では、40歳以上でも妊婦や授乳中の女性を事前配布対象とする。住民の不安に配慮し、供給量が十分なら希望者にも事前配布してよいとした。
配布方法は、従来は医師立ち会いの説明会で受け取る必要があったが、改正後は説明会に参加できなくても薬局で受け取ることもできるようになる。
世界保健機関(WHO)の2017年指針で、40歳以上への投与は「有益性が低くなる」としていることも参考にした。【共同通信】