杉本達治知事は十四日、定例会見を開き、本年度の県原子力防災訓練を八月三十、三十一日に実施すると発表した。関西電力美浜原発3号機(美浜町)の事故を想定し、原発から半径三十キロ圏の七市町で広域避難訓練を実施する予定で、嶺北の越前市なども参加の見通し。嶺北の住民が避難する県の訓練は初めてとなる。
美浜原発を対象にした訓練は一三年六月以来で、この時は五キロ圏のみが対象だった。東京電力福島第一原発事故を教訓に災害対策重点区域が三十キロ圏に拡大され、県や内閣府などでつくる協議会は昨年十二月から美浜地域の広域避難計画の策定に向けて協議している。杉本知事は会見で「検討している計画がうまく回るか検証したい。前回の訓練から六年たっており、良い時期だ」と説明した。
対象となるのは嶺南では立地自治体の美浜町と敦賀市、小浜市、若狭町。嶺北では越前市、越前町、南越前町。主に県内避難を訓練するが、一部は県外へも避難する方向で調整している。八月三十日は自治体の対策本部運営や関西電力の事故制圧訓練を実施し、三十一日に住民や自衛隊などが参加し、避難やスクリーニングの実動訓練を行う予定している。
美浜原発は1、2号機が廃炉作業中。3号機は運転開始から四十年超の延長運転に向けて安全対策工事が行われており、関電は来年七月の完成以降の再稼働を目指している。原発三十キロ圏内の県内人口は昨年四月現在、二十三万千八百六十一人。【中日新聞】