「福井から原発を止める裁判の会」(中嶌哲演代表)の総会が一日、福井市内であり、住民側が逆転敗訴した関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の運転差し止め訴訟の総括などを行った。
二〇一四年五月の福井地裁判決は、住民側の訴えを認め運転差し止めを命じたが、昨年七月の名古屋高裁金沢支部の控訴審判決は地裁判決を取り消し、運転を容認する判決を言い渡した。住民側は最高裁への不信から上告せず、判決が確定した。
弁護団長を務めた島田広弁護士は、証人が一人しか採用されなかったことなど高裁金沢支部の姿勢を改めて批判。司法の独立の形骸化などで原発訴訟で住民側が勝訴することは難しくなっていると指摘し、「再生可能エネルギーのことを含め、原発のない新しい社会を構築していくような合意形成をもっと進める必要がある。一朝一夕にはいかないが、一つ一つできることをやっていくしかない」と呼び掛けた。
福島県南相馬市から大津市に避難している青田恵子さん(69)の講演もあり、福島で住民不在のまま「復興」が進められているとし、「福島が差別されていることに怒っている」と述べた。【福井新聞】