東京電力福島第1原発事故で福島県の避難指示区域外から千葉県に自主避難した6世帯19人が、国と東電に計約2億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は14日、国への請求を退け、東電に4世帯9人への計約508万円の支払いを命じた。弁護団によると、全国の同種訴訟約30件中、国を被告とした7件目の判決で、うち国の責任を否定したのは2件目。
高瀬順久裁判長は、国は津波の到来を予見できたが、東日本大震災までに対策を取って被害を回避することはできなかったとして、国の違法性を否定。東電の賠償責任に関しては、原告の個別の事情に応じて自主避難の合理性を一部認めた一方、「ふるさと喪失慰謝料」は「復興状況などから、生活基盤が破壊されたとも、精神的被害を受けたとも言えない」と一切認めなかった。
訴状などによると、原告は当時、福島県いわき市や福島市などの避難指示区域外に居住。原告1人当たり慰謝料など約1300万円を求め「区域の設定に合理性はなく、区域外を理由に賠償額が低くなるのは許されない」と訴えた。国と東電は、津波は予見できなかったと反論していた。
同種訴訟では、別の原告による2017年の千葉地裁判決だけが東電のみに、福島や前橋、横浜などの5地裁は国と東電双方に賠償を命じた。国の責任が争われなかった訴訟2件も含めると一審判決は9件目。【共同通信】