台湾の沈栄津・経済部長(経済産業相に相当)は1月31日、2025年までに「脱原発」を実現する目標を継続する方針を発表した。昨年11月の住民投票では25年までの脱原発に反対が多数を占めた。住民投票法は「民意重視」を掲げる与党・民進党が主導して施行された経緯もあり、「民意の無視だ」と反発が広がる可能性がある。
台湾の原発6基のうち、1基は昨年12月に40年間の運転期間を終えて発電を停止。残り5基も今年7月~25年5月に順次、運転期間を終える。このため25年6月以降も原発稼働を続けるには、稼働期間の延長か新原発の建設が必要となる。
沈氏は記者会見で「(原発が立地する)地方自治体が反対しており、稼働期間延長は難しい」と述べた。さらに凍結状態が続く新原発建設に関しても「(建設再開は)困難が大きい」と説明した。
その上で沈氏は、25年時点の各電源の発電容量について、再生可能エネルギー20%▽天然ガス50%▽石炭30%――とし、原発をゼロとする目標も変わらないとした。
脱原発は蔡英文政権の目玉政策で、実現すればアジア初として注目されている。だが17年に夏場の電力供給が逼迫(ひっぱく)し、全土で大規模な停電が発生。人的ミスが原因だったが、野党や経済界などから脱原発政策への批判が相次いだ。【毎日新聞】